とりとめ

遠い将来の思い出/やや近い将来への忘備録

三崎亜記『となり町戦争』

一地方公務員が、何をさせられたらそんな達観モードになってしまうのか? 理不尽に憤ったり、それを回避しようとしたり、そういった考えうるプロセスは「戦争」の一語で全てすっとばされてしまうのか? 所詮小さな地方自治体の政策、というスケールに過ぎないのに? ではなぜ今さら涙を流す?
物語世界の人物なのにその外(読者)の感覚でものを言ったり、そのくせ「喪失」に対しては妙に割りきりが良かったり、主人公も大概だ。何の小説を読んでも感じるのは、結局のところ人間の理解できなさである気がする。心身に余裕があればそれを楽しむこともできるのであろうが、特に面白い物語を読んでる際はその世界に入り込んでいる訳で、そんな俯瞰的見方をするゆとりはあるはずもない。